日本の皇室に伝わる三種の神器を奪おうと、唐の国から来た老狐が女に化け、近衛天皇の妃(玉藻前)となった。謡曲「玉藻前」を神楽化したものである。
備中神楽のストーリー
登場の人物
阿部泰近(あべのやすちか)
治部太夫(じぶのだゆう)
阿部泰重(あべのやすしげ)
玉藻前(たまものまえ)
老狐(ろうこ:玉藻前の正体)
上総介(かずさのすけ:狐猟師)
三村介(みうらのすけ:狐猟師)
易の大家、阿部泰近の弟である阿部泰重が居眠りしているところに治部太夫が訪ね来る。
弟の泰重が易の大家と思い帝の病の原因と治癒の方法を相談した。しかし、いい加減な返事で法外な料金を請求し失礼千万な振る舞いに口論となり刀を抜きあわやというところに阿部泰近が帰宅した。泰重は易には無知であったことが判明した。
阿部泰近は、深く詫びをした後、治部太夫より詳細を聴き、改めて易をたてると天皇の妃、玉藻前に疑いがかかる。
そこで、玉藻前の御前下がりを願い阿部泰近がさまざまな尋問を繰り返す。
しかし、なかなか正体を明かさないので八咫鏡の威徳により正体を見破る手段を取り鏡の上を三度四度変わり跳び越すことを迫った。動揺する玉藻前は、鏡の上にそしらぬ顔で扇を置いてしぶとく逃れる。最後の手段として阿部泰近が鏡を持ち、玉藻前の正面にかざした。
ついに、老狐はその正体を現した。この場面のセリフが一番の決め手であります。
見破られた狐は那須野が原に逃げたが、狐猟師の上総介と三浦介に退治される。この場面は茶利役なので二人の猟師はおもしろおかしいく狐退治を演じ、狐の頭を二人で担いで退場する物語。