陰陽五行説を痛快に説明し、天地宇宙の万物の成り立ちを問答形式で説く神楽です。

五行とは、木・火・土・金・水が万物の根源だとする思想で、この5つが無ければ生活できない。その象徴として、五色の幡をもって表す。天地宇宙の万物の成り立ちを問答形式で説く神楽です。
天地を創造した万古大王が五人の王子に、それぞれ春・夏・秋・冬・土用の五季節と方位を分け与える神々の物語です。陰陽五行思想に則った教化神楽とでもいうべきもので、神代神楽を編成する以前からの荒神神楽の中心となっていたもので、あらん限りの知識を駆使して3日3晩問答、論争したと言い云えられている。

備中神楽のストーリー

登場の神々

万古大王(ばんこだいおう;父君)

久久能智命(くくぬちのみこと:太郎)

軻句突智命(かくつちのみこと:二郎)

金山比古命(かなやまひこのみこと:三郎 )

水波女命(みずはなめのみこと:四郎)

埴安彦命(はにやすのみこと:五郎)

修者賢牢神(しゅうじゃけんろうじん:仲裁役)

 

太郎が太鼓をたたき万古大王が五色の幡を手にして現れる。

万古大王は長年の間、天地間に万物を創生してきたが、もはや死期が近いことを語る。そこで、四兄弟とまだ見ぬ五人目の子に四季(暦)、方位、木火土金水を五つに分配すると告げ兄弟不和ならざるよう五行相生し世を穏やかに治めよと遺言し天上する。

埴安彦命が黄色の御幡を差し立てて兄弟に入れてほしいと登場するが四人の王子達は、弟だと認めようとしない。

五郎王子と四人の兄達との問答が繰り広げられる。五行説の口論から取っ組み合いの大喧嘩になろうとする。

そこに修者賢牢神が出て面白く仲裁する。

最後には五郎王子は正当な弟であると認められ、五人の任務分担が無事完了となる。最後に五郎王子が五行幡を持ち、舞い上げて、五行幡割りが終わる。産子は御幡を一本ずつ分けていただき、各家に持ち帰り台所の神棚(竈神:火の神)に祀られることになる。